クリニックの公式サイトに「患者様の声」があったら|体験談は説明を付けても載せられない
クリニックのサイトを見ていると、「患者様の声」「体験談」というページによく出会います。実際に受けた人の感想は、いちばん知りたい情報に見えます。
しかし医療広告のルールでは、これは載せられません。しかも、施術前後の写真とは扱いが違います。説明を付ければよい、という逃げ道がないのです。
写真とは違い、限定解除できない
まず違いを押さえます。
| 根拠 | 説明を付ければ載せられるか | |
|---|---|---|
| 施術前後の写真 | 規則第1条の9第2号 | 載せられる(治療内容・費用・期間回数・リスクの4点を付す) |
| 体験談 | 規則第1条の9第1号 | 載せられない |
写真の側の作法は症例写真の読み方にまとめました。
体験談が禁止される理由は、ガイドラインにこう書かれています。個々の患者の状態等により感想が異なり得るものであり、誤認を与えるおそれがある——だから医療に関する広告としては認められない、と。
つまり、公式サイトに患者の感想が載っていること自体が違反のサインです。
6つのパターン
厚生労働省の事例解説書は、実際にネットパトロールで見つかった形を5つの個別具体例として挙げています。基本形と合わせて6つになります。
1. そのまま載せる
いちばん素直な形です。「当院に寄せられた声を掲載しております」として、治療の経過と感想が並んでいるもの。
2. 口コミサイトから転載する
外部の口コミサイトの書き込みを、自院のサイトに引っ張ってくる形です。
資料はここを2つに分けています。
- 全部を転載した場合 … 体験談の広告に当たる
- 有利なものだけを抜粋した場合 … さらに誇大広告にも当たる
資料の例では、元のサイトに「術後にかなり痛みがありましたが」「予算をオーバーしてしまったのですが」という書き込みも並んでいます。抜粋版ではその2つが消えています。
医療機関にとって都合のよいものを選ぶ行為が、上乗せで問題になるという構造です。
3. スタッフが書く
これは見落とされやすい形です。資料は2つ挙げています。
- スタッフ自身が施術を受けた感想を書く(院長のブログを含む)
- スタッフが患者の感想を代わりに書く(「患者様はこうおっしゃっていました」)
どちらも、患者が書いたものと同様に認められません。書いた人が誰かで逃げられないということです。
4. 口コミサイトの側を編集させる
ここが第6版でも詳しく書かれている部分です。
前提として、口コミサイトの書き込みそのものは広告ではありません。ガイドラインは、医療機関からの影響を受けずに患者やその家族が行う推薦に留まる限り、誘引性は生じず医療広告に該当しない、としています。
問題になるのは、医療機関が依頼して運営者に手を入れさせた場合です。
- 内容を改編させる
- 否定的な書き込みを削除させる
- 肯定的な書き込みを上部に優先表示させる
これらは医療広告に当たり、禁止されます。
ただし例外があります。名誉毀損等の不法行為に当たる書き込みの削除依頼は、医療法違反にはなりません。
順位が付いた比較サイトの読み方は脱毛の比較サイトとランキングの読み方へ。
5. 手書きアンケートを画像で載せる
患者に書いてもらったアンケート用紙を、写真やPDFにして載せる形です。文字にせず画像にすれば別扱いになる、とはなりません。画像のトリミングやPDF化といった加工を経ても、規制の対象です。
6. 医師の症例紹介に混ぜる
これが最も見分けにくい形です。
医師が「代表的な症例をご紹介します」として書いた文章の中に、患者の主観が混ざっているもの。資料の例では、経過説明の中にこう入っています。
「5年間悩まされていた痛みが和らいだ」と仰るなど
医師の文章の体裁でも、患者の主観による治療内容または効果の記述が入っていれば体験談として扱われます。
「口コミを見るな」ではない
ここは分けて理解する必要があります。
- クリニックの公式サイトに載っている感想 … 規制対象。載っていること自体が問題
- 口コミサイトの書き込みそのもの … 医療機関が手を入れていない限り、広告ではない
つまり外部サイトを見ること自体は否定されていません。ただし、その書き込みが編集されたものかどうかを読み手が見分ける手段はほとんどありません。
そして、外部サイトであっても医療機関が費用負担等の便宜を図って掲載を依頼していれば誘引性が認められる、というのがガイドラインのQ&A(A2-11)の立場です。これが、アフィリエイトサイトが規制対象になる根拠でもあります → SNSで見た脱毛広告の読み方
感想の代わりに何を見るか
体験談が使えないとすると、判断材料は次のものになります。
- 診療ガイドラインの推奨度(AGAなら推奨度A〜D)→ AGA治療薬の種類
- 公式サイトに書かれた料金と条件(限定解除の要件として書かれているはずのもの)→ ヒゲ脱毛の料金
- 公表された統計(国民生活センターの相談件数など)→ 脱毛施術による危害
- カウンセリングで自分が聞いたこと → カウンセリングで確認すること
感想は個人差の塊です。回数・費用・条件という、比較できる形の情報に置き換えていくのが実務になります。
当サイトの方針
当サイトには利用者の感想を載せていません。掲載できないものであることに加え、当サイトは施術を提供しておらず、真偽を一次情報として確認できないためです。方針は編集ポリシーに書いています。
施術のリスクと副作用
ヒゲ脱毛を含む医療脱毛、およびAGA治療は自由診療で、公的医療保険は適用されず全額自己負担です。
主なリスク
- 感想は個々の状態により異なるため、同じ経過をたどることは保証されません
- 一度破壊された毛根は元に戻せません
- 日焼けした肌や色素の濃い部位では、やけどが生じるリスクが高まります
- 硬毛化・増毛化が起こることがあります
- AGA治療は進行を抑えることが目的で、中止すると効果は消失します
- 効果の判定には6か月程度の継続が必要とされています
主な副作用
- 照射時の痛み
- 照射直後の赤み・ほてり・むくみ
- 毛のう炎
- 性機能に関するもの(性欲減退、勃起機能の低下、射精障害)
- 肝機能値の異常
症状の程度や頻度には個人差があります。実際に受けられるかどうかは、医師の診察を受けたうえで判断してください。
まとめ
- 治療の内容や効果に関する患者の主観的な感想は、医療広告では例外なく禁止
- 施術前後の写真と違い、説明を付けて掲載する道がない
- 外部サイトからの転載も対象。有利なものだけの抜粋はさらに誇大広告になる
- スタッフ自身が書いても、スタッフが代筆しても同じ扱い
- 手書きアンケートの画像・PDF転載も、医師の症例紹介への混入も対象
- 医療機関が依頼して外部サイトの書き込みを改編・削除・並べ替えさせることも禁止
- ただし口コミサイトの書き込みそのものは、医療機関が関与しない限り広告ではない
出典
- 厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)」令和8年3月(2026-09-05確認)
- 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」令和8年3月30日最終改正(2026-09-05確認)
この記事の作られ方
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記載の根拠は記事末の出典に、確認日とあわせて示しています。 効果・副作用・適応の判断は個人差が大きく、記事の情報で代替できるものではありません。 治療の可否は必ず医師の診察を受けたうえで判断してください。
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