症例写真(ビフォーアフター)の読み方|説明が付いていない写真は広告できない
ヒゲ脱毛とAGAは、施術前後の写真が判断材料の中心に置かれやすい分野です。毛が減ったかどうか、生えたかどうかは、見ればわかるように思えるからです。
ところが医療広告のルールでは、この写真こそ扱いが厳しく決められています。厚生労働省が2026年3月に第6版を出した事例解説書に、違反例が具体的に載っています。読み手にとっては、そのまま「その写真を信じてよいか」の判定基準になります。
原則:説明のない写真は掲載できない
施術前後の写真は、省令で禁止された事項です(医療法第6条の5第2項第4号、規則第1条の9第2号)。
理由はガイドラインに書かれています。個々の患者の状態等により当然に治療等の結果は異なるため、誤認させるおそれがあるからです。
ただし全面禁止ではありません。ガイドラインは、詳細な説明を付した場合はこれに当たらないとしています。
写真1枚につき、必要な4点
事例解説書が改善例として示しているのは、写真のすぐ横に次の4点を書く形です。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 治療内容 | 何をしたのか。方法名だけでなく具体的な手順 |
| 治療期間・回数 | 「約6か月間、10回」のように |
| 費用 | 総額。自由診療である旨も |
| リスク・副作用 | 主なものを列挙 |
限定解除の③④の要件と同じ中身です → 美容クリニックの広告の読み方
この4点が写真の近くにないなら、その写真は広告として出せないものです。
違反になる6つのパターン
事例解説書が挙げているものを、見た目でわかる形に並べ直します。
1. 写真だけ、説明が一切ない
いちばん単純な形です。「症例紹介」として術前術後が並んでいるだけ。
2. 説明が不十分
資料の例では、写真の下にこう書かれています。
インプラント治療により、審美面・機能面ともに回復しました。
治療費は1,500,000円~。
費用の下限だけがあり、期間・回数、リスク・副作用がありません。これは足りないと判定されています。
脱毛・AGAに置き換えると、「◯回で毛が気にならなくなりました。◯円〜」で終わっているものが該当します。
3. クリックしないと説明が出ない
「※画像またはこちらをクリックすると、詳細が表示されます」という形式です。畳んである時点で不可とされています。
4. 説明が別ページに置いてある
写真のページには治療内容だけを書き、「リスク・費用については料金一覧へ」とリンクで飛ばす形。これも認められません。
ガイドライン本体も、リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用しないことと明記しています。
利点は大きく、リスクは小さく、という配置自体が規制対象です。
5. 複数の写真に、説明が1つだけ
症例①②③と写真を並べて、下にまとめて1つの説明を置く形です。資料は明確に否定しています。
改善例では、症例ごとに治療内容・期間回数・費用・リスクを別々に書いています。しかも症例①と②で費用もリスクも違う内容が書かれています。
そうなるのが自然です。同じ説明で足りるなら、それは症例ごとの説明になっていません。
6. バナー画像や公式SNSの写真に説明がない
これは第6版で注意事例として挙げられているものです。
- サイト内のバナー画像に術前術後が使われ、説明がない
- そのバナーから飛ぶ公式SNSアカウントにも同じ写真が投稿され、やはり説明がない
資料に載っているSNS投稿の例文は、こういう調子のものです。
Afterの写真は1週間後の経過です。腫れもなく、きれいな仕上がりになりました!
公式アカウントの投稿もサイト本体と同じ規制を受けます → SNSで見た脱毛広告の読み方
片方だけの写真、イラストも同じ
資料には補足があります。
術前又は術後のイラストや、術前のみ又は術後のみの写真についても通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療の主なリスク・副作用等の情報を付す必要がある。
「アフターだけ」も対象です。ヒゲの状態や頭髪の写真を1枚だけ載せる形も、説明が要ります。
読み手としてのチェック
写真を見たとき、順番はこうなります。
- 写真のすぐ近くに4点があるか(治療内容・期間回数・費用・リスク)
- 4点がその写真専用に書かれているか(他の症例と共通の文章になっていないか)
- クリックや別ページに逃げていないか
- リスクの文字が極端に小さくないか
1つでも欠けていたら、その写真は判断材料から外してください。 ルールを満たしていない広告だからです。
脱毛・AGAの写真を見るときの追加の注意
規制とは別に、この分野特有の見方があります。
ヒゲ脱毛の写真は、撮影のタイミングで見え方が大きく変わります。剃った直後か、数日置いたか。照明の角度によって青みの出方も違います。青く見える原因そのものは青ヒゲはなぜ青いのかにまとめました。
AGAの写真は、効果判定に6か月程度かかるとされていること、そして初期に一時的な脱毛が起こりうることを踏まえる必要があります → AGAの初期脱毛
そして両方に共通するのが、その人が何回受けたのかです。回数が書かれていない写真は、比較のしようがありません → ヒゲ脱毛は何回で終わるのか
当サイトが症例写真を載せない理由
当サイトには施術前後の写真がありません。理由は2つです。
- 4点を写真ごとに正確に付けられない。 当サイトは施術を提供していないので、その写真の人が何回・いくらで・どんな経過をたどったかを一次情報として確認できません
- 確認できない情報を載せると、それ自体が誤認のもとになる
方針は編集ポリシーに書いています。
施術のリスクと副作用
ヒゲ脱毛を含む医療脱毛、およびAGA治療は自由診療で、公的医療保険は適用されず全額自己負担です。
主なリスク
- 施術前後の写真は個々の状態により結果が異なるため、同じ経過をたどることは保証されません
- 一度破壊された毛根は元に戻せません
- 日焼けした肌や色素の濃い部位では、やけどが生じるリスクが高まります
- 硬毛化・増毛化が起こることがあります
- AGA治療は進行を抑えることが目的で、中止すると効果は消失します
- 効果の判定には6か月程度の継続が必要とされています
主な副作用
- 照射時の痛み
- 照射直後の赤み・ほてり・むくみ
- 毛のう炎
- 性機能に関するもの(性欲減退、勃起機能の低下、射精障害)
- 肝機能値の異常
症状の程度や頻度には個人差があります。実際に受けられるかどうかは、医師の診察を受けたうえで判断してください。
まとめ
- 施術前後の写真は省令禁止事項だが、詳細な説明を付せば掲載できる
- 必要なのは、写真ごとの治療内容・治療期間と回数・費用・リスクと副作用の4点
- 説明が不十分、クリックで展開、別ページへのリンク、まとめて1つ——いずれも不可
- バナー画像や公式SNSの症例写真も同じ規制を受ける
- 術後のみの写真やイラストにも説明が必要
- 4点が揃っていない写真は、判断材料から外してよい
出典
- 厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)」令和8年3月(2026-09-05確認)
- 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」令和8年3月30日最終改正(2026-09-05確認)
この記事の作られ方
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