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コラム

「満足度99%」「症例10万件」の読み方|数字は根拠を書けば載せてよい、ではない

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編集: メンズ美容ノート編集部編集方針広告掲載ポリシー

脱毛やAGAの広告は、数字でできています。満足度、発毛率、症例数、そして順位。数字は具体的で、検証されたもののように見えます。

厚生労働省の事例解説書を読むと、ここに並ぶ数字の多くが規制の対象だとわかります。しかも挙げられている違反例が、医療脱毛の満足度と、発毛治療の発毛率でした。

満足度は、根拠を書いても載せられない

まずここが一番の誤解どころです。

事例解説書に引用されているガイドラインの一節です。

患者満足度調査を実施している旨、当該調査の結果を提供している旨又は当該調査の結果の入手方法等については広告可能であるが、当該調査の結果そのものについては、広告が認められないことに留意すること

つまり、こう分かれます。

広告できるか
満足度調査を実施している旨 できる
結果を提供している旨・入手方法 できる
結果そのもの(◯%という数字) できない

根拠を添えれば載せてよい、という話ではありません。 数字そのものが広告可能事項の外にあります。

事例解説書が挙げている違反例は、そのまま脱毛でした。

医療脱毛 患者様満足度 99%
多くの皆様にご満足いただいております!

発毛率・成功率は、根拠がなければ虚偽広告

満足度と並んで挙げられているのが、効果の数字です。こちらも例が発毛でした。

当院におけるHARG療法の発毛率は99%です。
治療を受けた患者様のほぼ全員が効果を実感しておられます!

ガイドラインは、データの根拠(具体的な調査方法等)を明確にせず、データの結果と考えられるもののみを示すもの虚偽広告として取り扱う、としています。

虚偽広告は誇大広告より重い分類です。医療法第6条の5第1項に当たります。

そしてガイドライン本体には、もう一段の記述があります。

非常に限られた患者等を対象に実施された調査や謝金を支払うことにより意図的に誘導された調査の結果など、公正なデータといえないものについても、虚偽にわたるものとして取り扱う

調査方法が書いてあっても、その中身が公正でなければ虚偽ということです。

症例数には期間がいる

「症例10万件突破」のような表示にもルールがあります。

ガイドラインは、手術件数を広告する際には当該手術件数に係る期間を併記する必要があるとしています。さらに、長期間の件数で現在提供されている医療の内容について誤認させるおそれがあるものは誇大広告に該当する可能性がある、とも。

事例解説書の違反例は2つです。

  1. 件数だけ … 「実績はのべ1,500件を超えています」
  2. 長すぎる期間 … 「対象期間:1985年〜2018年」

そして改善例が具体的です。対象期間を明示したうえで、1年ごとに集計したものを複数年にわたって示す——資料には2007年から2018年まで、年ごとの件数が並んだ表が載っています。

なぜそこまで求めるのか。33年分の合計は、いま何ができるかを表していないからです。医師も機器も入れ替わります。

「のべ◯件」だけの表示は、期間を隠した数字です。

順位と最上級は、事実でも禁止

ここは当サイトが繰り返し書いてきた部分ですが、条文の書き方が独特なので改めて。

ガイドライン本体の記述です。

これは、事実であったとしても、優秀性について、著しい誤認を与えるおそれがあるために禁止されるものであり、例えば、「日本一」、「№1」、「最高」等の最上級の表現その他優秀性について著しく誤認を与える表現は、客観的な事実であったとしても、禁止される表現に該当する

本当に1位でも書けません。 通常の広告規制とは考え方が違うところです。

具体例として挙がっているものです。

当院は県内一の医師数を誇ります。
本グループは全国に展開し、最高の医療を広く国民に提供しております。
当院は美容外科手術において日本一の実績を有しています

他院との比較や、他院を落とす書き方も同じ扱いです。資料には、他院の医師を未熟だとして自院の安全性を訴える例も載っています。

順位が付いた比較サイトの読み方は脱毛の比較サイトとランキングの読み方へ。

数字を載せてよい場合の条件

では数字が全部だめかというと、そうではありません。ガイドラインは続けてこう書いています。

ただし、最上級を意味する表現その他優秀性について著しい誤認を与える表現を除き、必ずしも客観的な事実の記載を妨げるものではないが、求められれば内容に係る裏付けとなる合理的な根拠を示し、客観的に実証できる必要がある。調査結果等の引用による広告については、出典、調査の実施主体、調査の範囲、実施時期等を併記する必要がある。

引用するなら4点が要る、ということです。

  1. 出典
  2. 調査の実施主体(誰が調べたのか)
  3. 調査の範囲(何人を、どの条件で)
  4. 実施時期

「調査の実施主体」が自院である調査は、それ自体が判断材料として弱いということも、この並びから読み取れます。

「ガイドライン遵守」の表示について

もう1つ、意外な項目があります。医療広告ガイドラインを遵守している旨を強調することが誇大広告として挙げられています。

理由は、遵守していることは特段強調すべきことではないから。加えて資料は、公的な制度により行政機関が保証しているように誤認を与える表現も認められないとしています。

違反例に出てくるのは、こういう文面です。

当院のサイトは、厚生労働省が定めた医療広告ガイドラインの遵守状況を確認する
審査制度に基づき、指定審査機関から認定証を取得したことをお知らせいたします。

改善例では、フッターに小さく「当院のホームページは医療広告ガイドラインを遵守して作成しております」と書いてあるだけです。

「認定」「審査済み」というバッジは、それ自体が確認対象だと考えてください。

読み手のチェックリスト

  1. 満足度の数字が出ていたら、そこは広告できない箇所
  2. 発毛率・成功率に調査方法が書かれているか。 なければ虚偽広告の分類
  3. 症例数に期間が併記されているか。 「のべ」だけなら判断材料にしない
  4. 「No.1」「日本一」があれば、事実かどうかを問わず違反
  5. 調査結果の引用に、出典・実施主体・範囲・時期の4点があるか

数字の代わりに何を見るかは症例写真の読み方クリニックの「患者様の声」に書きました。比較の軸を先に決める方法はメンズ美容クリニックの選び方へ。

施術のリスクと副作用

ヒゲ脱毛を含む医療脱毛、およびAGA治療は自由診療で、公的医療保険は適用されず全額自己負担です。

主なリスク

  • 広告に出ている効果の数字は、調査方法が示されていなければ根拠を確認できません
  • 一度破壊された毛根は元に戻せません
  • 日焼けした肌や色素の濃い部位では、やけどが生じるリスクが高まります
  • 硬毛化・増毛化が起こることがあります
  • AGA治療は進行を抑えることが目的で、中止すると効果は消失します
  • 効果の判定には6か月程度の継続が必要とされています

主な副作用

  • 照射時の痛み
  • 照射直後の赤み・ほてり・むくみ
  • 毛のう炎
  • 性機能に関するもの(性欲減退、勃起機能の低下、射精障害)
  • 肝機能値の異常

症状の程度や頻度には個人差があります。実際に受けられるかどうかは、医師の診察を受けたうえで判断してください。

まとめ

  • 患者満足度調査は、実施している旨や入手方法は書けるが、結果の数字そのものは広告できない
  • 発毛率・成功率は、調査方法を示さなければ虚偽広告として扱われる
  • 限られた対象や謝金で誘導された調査は、方法を書いても虚偽にあたる
  • 症例数には期間の併記が必要。長すぎる期間の合計は誇大広告になりうる
  • 「日本一」「No.1」「最高」は、客観的な事実であっても禁止
  • 調査結果を引くなら、出典・実施主体・範囲・実施時期の4点が要る
  • 「ガイドライン遵守」を強調する表示自体が誇大広告として挙げられている

出典

  1. 厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)」令和8年3月2026-09-05確認)
  2. 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」令和8年3月30日最終改正2026-09-05確認)

この記事の作られ方

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