クリニックのSNSと動画の見方|1つの投稿が、単独で1つの広告として扱われる
脱毛やAGAの情報は、いまSNSと動画で流れてきます。クリニックの公式アカウント、医師個人のアカウント、解説動画。サイトより気軽な場所に見えます。
厚生労働省の事例解説書は、第6版でSNSと動画に丸ごと1章を割きました。読むとわかるのは、媒体が変わっても規制は変わらないということです。むしろ、SNS特有の厳しさがあります。
どこまでが「広告」なのか
資料はSNSの広告を3つの部分に分けています。
| 中身 | |
|---|---|
| ①プロフィール | アカウントの説明文、リンク |
| ②投稿 | テキスト、画像、動画(一定期間で限定公開されるものを含む) |
| ③返信 | 自分の投稿への返信を含む |
括弧の中に注目してください。24時間で消えるストーリーズ形式の投稿も対象です。
動画サイトの場合は4つになります。
| 中身 | |
|---|---|
| ①プロフィール | チャンネルの説明 |
| ②動画 | 映像本体。テロップ・音声も含む |
| ③タイトル | |
| ④概要欄 |
そして、どちらにも共通する注意が2つ挙げられています。
- ハッシュタグ(#)によるタグ付け部分も医療広告に相当する。 投稿内容と関係のないハッシュタグによる誘引は不適切
- 個人アカウントによる情報であっても、医療機関・医師等への特定性と誘引性をいずれも有する場合は規制対象
2つ目が効きます。「クリニックの公式ではなく、勤務医の個人アカウント」でも、どこの誰かがわかって受診を誘う内容なら、同じ規制がかかります。
禁止事項は、どこか1か所にあれば違反
虚偽広告・誇大広告・比較優良広告・体験談——これらは、プロフィール、投稿、返信、タイトル、概要欄のいずれかに含まれていれば違反です。
資料の動画の違反例を見ると、概要欄にこう書かれています。
渋谷区の自由診療歯科と言えば、○○○○クリニック!
口コミで評判の歯科医がおすすめのオフィスホワイトニングですが、
中でも症例1,000件を超える非常に人気の施術が…
・個人差はありますが、1回目から効果を実感できます!
動画本編ではなく概要欄です。ここも広告として扱われます。
「一体的かつ一覧性」という考え方
ここがSNS・動画の章の中心です。
自由診療の情報を出すには、治療等の内容及び費用と治療等の主なリスク・副作用が必要です。SNSでは、これが一体的かつ一覧性をもって示されていなければ違反になります。
資料が「分かりにくいもの」として挙げている形です。
- 投稿1に「◯◯治療のメリットとは」、投稿2に治療内容、投稿3に費用とリスク——とバラバラに分かれている
- 複数のSNSに分散している(SNS1に費用、SNS2に期間、SNS3にリスク)
そして第6版で新しく加わった一文があります。
SNS上の1つの投稿は、単独で1つの広告として取り扱われる。 そのため、各投稿内において、当該投稿のみで必要な情報が完結し、かつ一体的で一覧性のある情報提供が行われていることが求められる。
「他の投稿を見れば書いてある」は通用しません。 目の前の1投稿だけで判断できるようになっていなければならない、ということです。
改善例として示されているのは2つの形です。
- プロフィール欄に治療内容・費用・リスクを書いておく
- 「本治療の詳細は1投稿目をご覧ください(投稿を固定しています)」と掲載場所を明示する
動画も同じで、「今回ご紹介した治療の詳細は概要欄をご覧ください」と動画内で場所を示したうえで、概要欄にまとめる形が改善例です。
施術前後の写真は「画像の付近に」
SNSの症例写真については、位置まで指定されています。
画像の付近に次の情報提供が一体的かつ一覧性をもってなされていなければ違反となる
動画の場合は「動画内の一連の流れで、画像の付近に」です。写真を映した後で概要欄に書く、という形では足りません。
必要な4点の中身は症例写真の読み方にまとめました。
他人の投稿を引用するのも違反
SNSならではの事例が1つあります。
一般ユーザーの投稿を、クリニックの公式アカウントが引用・再投稿して紹介する形です。資料の解説は簡潔です。
他者の投稿を引用することで、自院のサービス等の体験談を紹介している場合も違反となる
自分で書かなくても、引用して見せた時点で同じ扱いになります。感想が使えない理由はクリニックの「患者様の声」へ。
読み手のチェック
SNSや動画で気になるクリニックを見つけたときの手順です。
- その1投稿だけで、治療内容・費用・リスクが揃っているか(揃っているべきものです)
- 症例写真があるなら、写真のすぐ近くに説明があるか
- 感想を引用した投稿がないか
- ハッシュタグが投稿内容と関係しているか
- 個人アカウントでも、クリニック名が特定できて受診を誘う内容なら同じ規制対象
そして最後に、これが一番大事です。
SNSは入口として使い、判断は公式サイトの料金ページとカウンセリングで行う。 バナー広告と同じ構造です → クリックする前の広告のほうが、規制は厳しい
ステマ規制と「誰の投稿か」の見分け方はSNSで見た脱毛広告の読み方に、聞くべきことはカウンセリングで確認することにまとめています。
施術のリスクと副作用
ヒゲ脱毛を含む医療脱毛、およびAGA治療は自由診療で、公的医療保険は適用されず全額自己負担です。
主なリスク
- SNSや動画の投稿は、1件で判断に必要な情報が揃っているとは限りません
- 一度破壊された毛根は元に戻せません
- 日焼けした肌や色素の濃い部位では、やけどが生じるリスクが高まります
- 硬毛化・増毛化が起こることがあります
- AGA治療は進行を抑えることが目的で、中止すると効果は消失します
- 効果の判定には6か月程度の継続が必要とされています
主な副作用
- 照射時の痛み
- 照射直後の赤み・ほてり・むくみ
- 毛のう炎
- 性機能に関するもの(性欲減退、勃起機能の低下、射精障害)
- 肝機能値の異常
症状の程度や頻度には個人差があります。実際に受けられるかどうかは、医師の診察を受けたうえで判断してください。
まとめ
- SNSはプロフィール・投稿・返信、動画はプロフィール・動画・タイトル・概要欄が対象
- 一定期間で消える投稿も、テロップも音声も、ハッシュタグも対象に含まれる
- 個人アカウントでも、医療機関や医師が特定でき受診を誘う内容なら規制対象
- 禁止事項は、どこか1か所に含まれていれば違反
- 1つの投稿は単独で1つの広告として扱われ、その投稿だけで情報が完結している必要がある
- 情報が複数の投稿や複数のSNSに分散しているのは不可
- 症例写真は「画像の付近に」説明が要る
- 他人の投稿を引用して感想を紹介するのも違反
出典
- 厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)」令和8年3月(2026-09-05確認)
- 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」令和8年3月30日最終改正(2026-09-05確認)
この記事の作られ方
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