「◯◯専門医」の肩書きの読み方|広告できる資格名は決まっている
クリニックを比べるとき、医師のページを見る人は多いと思います。「◯◯専門医」「◯◯認定医」という肩書きが並んでいると、信頼できそうに見えます。
ここにも規制があります。医療広告で書ける肩書きは法律で限定されていて、書き方の形まで決まっています。逆に言えば、その形になっているかどうかで、読み手が確かめられることがあります。
広告できる専門性資格は2ルートしかない
医療広告で「専門性に関する認定を受けた旨」を書けるのは、次のどちらかです。
① 日本専門医機構が認定したもの(基本的な診療領域に限る)
ガイドラインが挙げている基本的な診療領域は19あります。
内科、小児科、皮膚科、精神科、外科、整形外科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、脳神経外科、放射線科、麻酔科、病理、臨床検査、救急科、形成外科、リハビリテーション科及び総合診療
② 令和3年10月1日より前に厚生労働大臣へ届け出た団体の認定(医師58団体56資格)
こちらは経過措置で、当分の間は書けるものです。
「美容外科専門医」は、この中にない
上の19領域を見ると、美容外科も美容皮膚科もありません。
②の届出リストのほうも確認しました。厚生労働省が公表している資格名の一覧(令和5年2月17日付)を通しで見ると、「美容」という語は一度も出てきません。
脱毛やAGAに関係しそうな資格としては、次のものが載っています。
- 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 日本形成外科学会認定 形成外科専門医
つまり、この分野で広告できる肩書きとして最も近いのは「皮膚科専門医」と「形成外科専門医」ということになります。
では美容系の資格名は書けないのか
書けないわけではありません。ガイドラインは、広告可能事項に当たらないものでも、限定解除の要件を満たし、かつ禁止される広告に該当しなければ広告できるとしています。
事例解説書の違反例は、資格名そのものではなく問い合わせ先が明示されていないことを理由に、要件を満たしていないと判定されています。
「書いてあるからおかしい」ではなく、「要件を満たしているか」で見る——これが正しい読み方です。要件の中身は美容クリニックの広告の読み方にまとめました。
表記の形が決まっている
ここは実務的に効きます。ガイドラインが示す形はこれです。
・ 医師○○○○(日本専門医機構認定○○専門医) ・ 医師○○○○(○○学会認定○○専門医)
認定した団体名と、資格名の両方が要ります。そして続けてこう書かれています。
例えば、「厚生労働省認定○○専門医」等は虚偽広告として取り扱い、単に「○○専門医」との表記も誤解を与えるものとして、誇大広告に該当するものとして指導等を行うこと
まとめるとこうなります。
| 表記 | 扱い |
|---|---|
| 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医 | 適切 |
| 単に「皮膚科専門医」 | 誇大広告 |
| 「日本皮膚科学会認定 専門医」(資格名なし) | 不可 |
| 「厚生労働省認定 ◯◯専門医」 | 虚偽広告 |
最後の行は理由がはっきりしています。専門医の資格認定は各学会と専門医機構が行うもので、厚生労働省が認可した資格ではないからです。厚労省のお墨付きに見せる表記は、事実に反します。
略歴に書けないもの
ガイドラインは、医師の「略歴」として書ける範囲も定めています。生年月日、出身校、学位、免許取得日、勤務した医療機関などです。そして、こう続きます。
記載する事項は、社会的な評価を受けている客観的な事実であってその正否について容易に確認できるものであり、専門医や認定医等の資格の取得等は含まれない
資格は「略歴」ではなく、上で見た専門性資格のルートで書くもの、という整理です。
さらに、見落とされやすい一文があります。
なお、研修については、研修の実施主体やその内容が様々であり、医療に関する適切な選択に資するものとそうではないものの線引きが困難であることから、広告可能な事項とはされておらず、広告が認められていない
「◯◯研修修了」「◯◯セミナー認定」といった肩書きは、広告可能事項ではありません。 民間資格の取得者も広告できないとされています。
「専門外来」という表記
事例解説書に、もう1つ独特な項目があります。「専門外来」という表記は広告可能事項ではありません。
しかも資料には、こう注記されています。
「専門」を除外して「外来」とした場合も認められない
同じ事例では、法令上の根拠のない診療科名(膠原病科、認知症科など)も指摘されています。診療科名は法令で決まっているものだけが書けます。
あわせて挙がっているのが次の2つです。
- 医師個人のキャリアとしての手術件数(「◯◯医師の執刀件数◯件」)
- 自院や所属医師が新聞・雑誌等で紹介された旨
いずれも広告可能事項ではなく、書くなら限定解除の要件を満たす必要があります。
常勤か非常勤か
もう1点、ガイドラインが誇大広告として挙げているものです。
非常勤の医師について、常時勤務する者であるかのように誤認を与える広告は誇大広告として扱われます。非常勤である旨や勤務する日時(「火曜と木曜の午後」など)を示せば差し支えない、とされています。
「◯◯専門医が在籍」と書かれていても、その医師が自分の予約日にいるとは限りません。 施術を担当する医師が誰かは、カウンセリングで確認する項目です → カウンセリングで確認すること
読み手のチェック
- 団体名と資格名が両方あるか(「◯◯学会認定 ◯◯専門医」の形か)
- 「厚生労働省認定」と書かれていないか(書かれていたら事実に反します)
- 研修修了や民間資格が、専門医と並べて書かれていないか
- その医師は常勤か。自分の施術を担当するのは誰か
- 肩書きよりも、施術内容・回数・費用・リスクの説明が揃っているか
肩書きは判断材料の1つですが、この分野の広告可能な専門性資格に美容系がない以上、肩書きだけで選ぶことはそもそも難しい構造です。比べる項目の決め方はメンズ美容クリニックの選び方へ。
2025年の通知が示した「誰が治療内容を決めているか」という論点もあわせて読んでください → 2025年の美容医療通知
施術のリスクと副作用
ヒゲ脱毛を含む医療脱毛、およびAGA治療は自由診療で、公的医療保険は適用されず全額自己負担です。
主なリスク
- 医師の肩書きは、施術の結果を保証するものではありません
- 一度破壊された毛根は元に戻せません
- 日焼けした肌や色素の濃い部位では、やけどが生じるリスクが高まります
- 硬毛化・増毛化が起こることがあります
- AGA治療は進行を抑えることが目的で、中止すると効果は消失します
- 効果の判定には6か月程度の継続が必要とされています
主な副作用
- 照射時の痛み
- 照射直後の赤み・ほてり・むくみ
- 毛のう炎
- 性機能に関するもの(性欲減退、勃起機能の低下、射精障害)
- 肝機能値の異常
症状の程度や頻度には個人差があります。実際に受けられるかどうかは、医師の診察を受けたうえで判断してください。
まとめ
- 広告できる専門性資格は、日本専門医機構の基本19領域か、経過措置で残る56資格
- 19領域にも、厚生労働大臣への届出リストにも「美容」の語はない
- 脱毛・AGAで近いのは皮膚科専門医と形成外科専門医
- 表記は「◯◯学会認定 ◯◯専門医」の形が必要。単に「◯◯専門医」は誇大広告
- 「厚生労働省認定◯◯専門医」は虚偽広告。厚労省は資格を認可していない
- 研修修了や民間資格は広告可能事項ではない
- 「専門外来」は広告可能事項ではなく、「専門」を外して「外来」にしても認められない
- 非常勤の医師を常勤のように見せる表示は誇大広告
出典
この記事の作られ方
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記載の根拠は記事末の出典に、確認日とあわせて示しています。 効果・副作用・適応の判断は個人差が大きく、記事の情報で代替できるものではありません。 治療の可否は必ず医師の診察を受けたうえで判断してください。
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