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AGA治療

AGA治療薬の種類と違い|診療ガイドラインの推奨度で整理する

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AGA(男性型脱毛症)の治療で使われる薬は、大きく2つの働きに分かれます。抜け毛の進行を抑えるものと、発毛を促すものです。そして同じ成分でも、剤形(飲み薬か塗り薬か)によって評価がまったく違います。

クリニックのプラン表は成分名ではなく「発毛プラン」のような名前で書かれていることが多く、何を飲むことになるのかが分かりにくくなっています。この記事では、日本皮膚科学会の男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版の推奨度を軸に整理します。

推奨度という物差し

このガイドラインは、治療法ごとに推奨度をAからDの5段階(A・B・C1・C2・D)で示しています。

  • A … 行うよう強く勧める
  • D … 行うべきではない

つまり同じ「AGAの薬」でも、強く勧められているものと、行うべきではないとされているものが混在しています。クリニックのプラン名だけを見ていると、この差が見えません。

前提:AGAは進行を抑える治療

先に押さえておきたいことがあります。AGAは進行性で、治療は進行を抑えることを目的とします。ガイドラインはフィナステリドについて「内服を中止すると効果は消失する」と明記しています。飲み続けることが前提の治療です。

効果の判定にも時間がかかります。ガイドラインは「少なくとも6カ月程度は内服を継続し効果を確認すべきである」としています。それより早い時点で効いているかどうかを判断することはできません。

推奨度Aの薬(国内承認あり)

フィナステリド(内服)

推奨度はA(男性型脱毛症)。「男性型脱毛症にはフィナステリドの内服を行うよう強く勧める」とされています。

テストステロンをより強力なジヒドロテストステロン(DHT)に変換する、II型5α還元酵素の阻害剤です。DHTの産生を抑えることで抜け毛の進行を抑えます。日本では2005年に男性型脱毛症の治療薬として承認されました。

注意点として、国内の臨床試験は20歳以上の男性を対象に行われたため、20歳未満に対する安全性は確立していません。また女性型脱毛症に対しては推奨度Dで、「行うべきではない」とされています。

デュタステリド(内服)

推奨度はA(男性型脱毛症)。フィナステリドがII型のみを阻害するのに対し、デュタステリドはI型・II型の両方を阻害します。日本では2015年に男性型脱毛症への適応が承認されました。

日本を含む国際臨床試験では、全毛髪数と毛の直径の増加についてデュタステリドが優れた結果を示した一方、直径60μm以上の硬毛数では両者に有意差がありませんでした。ガイドラインは両者の効果差について「今後さらなる検討を要する」としています。どちらを使うかは医師が診察のうえで判断します。

ミノキシジル(外用)

推奨度はA。「ミノキシジル外用を行うよう強く勧める」とされ、男性型脱毛症には5%、女性型脱毛症には1%が示されています。

頭皮に直接塗る薬で、発毛を促すことを目的とします。日本では一般用医薬品として販売されており、薬局で購入することもできます。進行を抑える内服薬と併用されることがあります。

有害事象としては、瘙痒(かゆみ)、紅斑、落屑、毛包炎、接触皮膚炎、顔面の多毛などが報告されています。また外用の初期に休止期脱毛がみられることがあり、これが自己判断での中止につながることがあるため、事前の説明が必要だとされています。いわゆる初期脱毛です。

推奨度Dの薬(国内承認なし)

ミノキシジルの内服薬

クリニックの「発毛プラン」に含まれていることがあるのが、ミノキシジルの内服薬です。ガイドラインの評価はD、推奨文は「ミノキシジルの内服を行うべきではない」です。

理由は明快で、ガイドラインは次のように述べています。

  • ミノキシジル内服の有用性に関して臨床試験は実施されていない
  • ミノキシジルは降圧剤として開発されたが、日本では降圧剤としても認可されていない
  • 男性型脱毛症に対する治療薬として認可している国はない
  • それにもかかわらず、全身の多毛症を起こす副作用があることを根拠に処方されたり、個人輸入で入手されたりしており、医薬品医療機器等法の観点から問題視されている

副作用についても、内服用製剤の添付文書の市販後調査欄に、胸痛・心拍数増加・動悸・息切れ・呼吸困難・うっ血性心不全・むくみ・体重増加といった重大な心血管系障害が生じるとの記載があることを挙げています。

そのうえで「利益と危険性が十分に検証されていないため、男性型脱毛症・女性型脱毛症ともに行わないよう強く勧められる」と結論づけています。

扱うクリニックを見るときの確認点

内服ミノキシジルは国内未承認なので、これを広告するクリニックには、医療広告等ガイドラインの限定解除要件として次の4点の明示が求められます。

  1. 未承認医薬品等であることの明示
  2. 入手経路等の明示
  3. 国内の承認医薬品等の有無の明示
  4. 諸外国における安全性等に係る情報の明示

この4点が書かれているかどうかは、そのクリニックが規制を把握しているかの目安になります。また国内未承認の医薬品を使用した場合、副作用が生じても医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

一覧で比べる

剤形 ガイドラインの推奨度 国内での承認
フィナステリド 内服 A(行うよう強く勧める) 承認あり(2005年)
デュタステリド 内服 A(行うよう強く勧める) 承認あり(2015年)
ミノキシジル 外用 A(行うよう強く勧める) 承認あり(一般用医薬品)
ミノキシジル 内服 D(行うべきではない) 承認なし

推奨度はいずれも男性型脱毛症に対するものです。

治療のリスクと副作用

AGA治療は自由診療で、公的医療保険は適用されず全額自己負担です。

主なリスク

  • 治療は進行を抑えることが目的で、中止すると効果は消失します
  • 効果の判定に6か月程度かかり、それ以前に判断することはできません
  • フィナステリドは20歳未満に対する国内での安全性が確立していません
  • フィナステリド・デュタステリドは女性および小児には推奨されません。妊娠中の女性は割れた錠剤に触れることも避ける必要があります
  • 国内未承認薬を使用した場合、医薬品副作用被害救済制度の対象外となります

主な副作用

  • 性機能に関するもの(性欲減退、勃起機能の低下、射精障害)
  • 肝機能値の異常
  • ミノキシジル外用による瘙痒・紅斑・落屑・毛包炎・接触皮膚炎・顔面の多毛
  • ミノキシジル外用の初期にみられる休止期脱毛(初期脱毛)
  • 内服ミノキシジルによる胸痛・心拍数増加・動悸・息切れ・呼吸困難・うっ血性心不全・むくみ・体重増加

症状の程度や頻度には個人差があります。服用できるかどうかは、必ず医師の診察を受けたうえで判断してください。他に服用している薬がある場合は、その内容も医師に伝えてください。

まとめ

  • 診療ガイドラインの推奨度Aは、フィナステリド内服・デュタステリド内服・ミノキシジル外用の3つ
  • ミノキシジルの内服は推奨度D。「行うべきではない」とされ、臨床試験も実施されていない
  • 内服ミノキシジルは国内で降圧剤としても未承認で、脱毛症の薬として認可した国もない
  • 治療をやめると効果は消失する。効果判定には6か月程度かかる
  • 未承認薬を扱うクリニックには、4点の明示が求められる
  • 自由診療で全額自己負担。性機能・肝機能に関する副作用の報告がある

出典

  1. 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」2026-08-18確認)
  2. 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」令和8年3月30日最終改正2026-08-18確認)

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