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コラム

美容医療にも医療安全の制度がある|事故が起きたとき、何が動くのか

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美容医療は自由診療で、保険が使えません。そのせいか「通常の医療とは別枠」という印象を持たれがちですが、制度上はそうではありません

3学会がまとめた「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」には、第6章 美容医療における医療安全という章があります。そこに書かれている3つの仕組みを紹介します。読者が直接使えるものが含まれています。

① 医療事故調査制度への報告義務

指針の最初のクリニカルクエスチョンは、報告義務についてです。

医療機関の管理者は、医療事故——当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、または起因すると疑われる死亡であって、管理者がその死亡を予期しなかったもの——が発生した場合、遅滞なく医療事故調査・支援センター(一般社団法人 日本医療安全調査機構)に報告しなければならない、とされています。

そして管理者は、速やかにその原因を明らかにするために医療事故調査を行わなければならないとされています。

指針はここに一文を添えています。

これまで、美容外科による医療事故の事例も報告されている

美容医療は例外ではないということです。

② 医療事故情報収集等事業

死亡に至らない事案を共有する仕組みも別にあります。

指針によれば、提供した医療(美容医療を含む)により医療機関内で事故その他の事案が発生した際、外部の機関が情報収集する制度として医療事故情報収集等事業があります。登録分析機関は公益財団法人 日本医療機能評価機構です。

報告が義務なのは、特定機能病院・国立ハンセン病療養所・国立病院機構および国立高度専門医療研究センターの開設する病院・大学附属病院などです。

それ以外の病院・診療所の管理者は、同事業に参加し事案を共有することが望まれる、という書き方になっています。つまり美容クリニックの多くは任意参加です。

指針は「これまで美容医療が関与する事案も共有されている」としています。

③ 医療安全支援センター(患者が直接使える)

3つ目が、読者にとって最も実用的です。

指針は、患者またはその家族からの医療(美容医療を含む)に関する苦情や相談に対応する行政機関として、都道府県等が設置している医療安全支援センターを挙げています。

役割は2つです。

  • 区域内の医療機関における医療に関する苦情や相談への対応
  • 必要に応じて医療機関の管理者に対する助言

国民生活センターも、医療機関で受けた脱毛について心配がある場合はここに相談できるとしています。

「クリニックに言っても取り合ってもらえない」ときの行き先が、制度としてちゃんと用意されているということです。

契約の窓口とは別物

ここを混同しないでください。窓口は目的で分かれます。

内容 窓口
医療そのものへの苦情・不安 医療安全支援センター
契約・返金・解約・勧誘 消費者ホットライン 188
医療機関の運営・広告の問題 保健所
医薬品の副作用による健康被害 PMDA

使い分けの詳細は困ったときの相談窓口にまとめました。重複して相談して構いません。

行政側も動くようになった

2025年8月の厚生労働省の通知(医政発0815第21号)は、都道府県等に対して立入検査・改善命令・業務停止や開設許可の取消し・警察等捜査機関への相談や告発・消費生活センターとの連携を求めています。

つまり、寄せられた情報が実際の監視につながる道があるということです。詳しくは2025年の美容医療通知へ。

脱毛の文脈では何が起きているか

制度の話を、実際の数字に接続しておきます。

国民生活センターの調査では、脱毛で危害が発生して治療を受けたという相談122件のうち、45.9%が施術を受けた医療機関とは別の医療機関を受診していました。資料は、その中には施術した医療機関の対応や治療に不満や不信感を抱いて他院を受診したという内容が多数みられた、としています。

つまり「起きたときに施術先が対応しない」ことが現実に一定数ある。だからこそ、外部の窓口を知っておく意味があります。

やけどが起きたときの具体的な動き方は医療脱毛のやけどに、記録の残し方は打ち漏れと再照射にまとめています。

契約前に効く読み方

制度を知っていると、クリニック選びの見方も変わります。

  • トラブル時の診察・薬の処方が無料かを、料金表とは別に確認する
  • その対応を施術した院で受けられるかを確認する
  • 説明を求めたときの反応そのものを判断材料にする

自由診療の説明について、厚生労働省の通知は「施術の安全性に係る説明は、必ず施術前に、施術を受けようとする者に対して直接丁寧に説明しなければならない」としています。求めてよいものです。

比較の手順はクリニックの選び方へ。

施術のリスクと副作用

ヒゲ脱毛もAGA治療も自由診療で、公的医療保険は適用されず全額自己負担です。

医療脱毛では、やけど・硬毛化・色素沈着などのリスクと、照射時の痛み・赤み・毛のう炎などの副作用があります。AGA治療は中止すると効果が消失し、フィナステリドはPSA値を低下させ、20歳未満に対する国内での安全性が確立していません。国内未承認薬を使用した場合は医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

症状の程度や頻度には個人差があります。受けられるかどうかは、必ず医師の診察を受けたうえで判断してください。

まとめ

  • 3学会の診療指針には「美容医療における医療安全」の章があり、美容医療も制度の中にある
  • 予期しない死亡が生じた場合、管理者は医療事故調査・支援センターへの報告義務がある
  • 死亡に至らない事案は医療事故情報収集等事業で共有されるが、美容クリニックの多くは任意参加
  • 患者が直接使えるのが医療安全支援センター。苦情・相談に対応し、管理者に助言する
  • 契約の話は188、医療の話は医療安全支援センター。重複して相談してよい
  • 脱毛で危害を受けた人の45.9%は別の医療機関を受診している

出典

  1. 日本皮膚科学会・日本形成外科学会・日本美容皮膚科学会「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」令和3年度厚生労働科学研究補助金2026-09-05確認)
  2. 厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」令和7年8月15日 医政発0815第21号2026-09-05確認)
  3. 国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」2017年5月11日2026-09-05確認)

この記事の作られ方

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