LED・低出力レーザー照射|推奨度Bだが、あまり知られていない選択肢
AGAの治療というと、内服・外用・注射・植毛あたりが思い浮かびます。しかし日本皮膚科学会の診療ガイドラインには、もうひとつ推奨度Bの項目があります。
LED及び低出力レーザー照射です。当サイトも育毛剤と治療薬の違いの表に載せただけで、中身を説明していませんでした。ここで補います。
推奨度Bという位置
推奨度:B 推奨文:LED 及び低出力レーザー照射を行うよう勧める.
B は「行うよう勧める」です。少なくとも1つ以上の有効性を示す質の劣るレベルIIか良質のレベルIII、あるいは非常に良質のIVのエビデンスがある場合に付けられます。
同じB評価にあるのは自毛植毛術(男性型脱毛症)とアデノシン外用(男性型脱毛症)です。つまり、植毛と同じ評価ということになります。
推奨度Aの3つ(ミノキシジルの外用薬と、フィナステリド・デュタステリドの内服薬)の一段下、という位置づけです。
根拠として挙げられている試験
ガイドラインが引いている試験を、そのまま紹介します。
男性型脱毛症について、655nmの低出力レーザーを週3回照射する方法で、110名の男性被験者を対象とした26週間のランダム化試験が行われています。結果は次のとおりです。
- 低出力レーザー照射群…照射前と比較して毛髪数が 19.8本/cm² 増加
- コントロール群(対照赤色光源)…7.6本/cm² 減少
増えた群と減った群で、はっきり差が出ています。
女性型脱毛症についても、9-beamおよび12-beamのレーザー照射装置(655nm、週3回)を用いた122名・26週間のランダム化試験があり、成長期毛の数が有意に増加したとされています。ガイドラインは「男性でも同様に有意にレーザー照射群の毛髪が増加していた」と記しています。
副作用は比較的軽微とされる
ここがこの治療の特徴です。
男性を対象とした試験では、レーザー照射後の副作用として4例で軽度の照射部の異常知覚、4例で軽度の蕁麻疹が生じたとされています。
女性を対象とした試験では、照射部皮膚の乾燥5.1%、瘙痒2.5%、圧痛1.3%、ひりつき1.3%、温熱感1.3%でした。
ガイドラインの結論はこうです。
LED および低出力レーザーの発毛効果に関しては,有用性を示す十分な根拠があり,副作用も比較的軽微であることから,適切な機材を使用して行うよう勧めることにする
「適切な機材を使用して」という条件が付いている点は見落とさないでください。
内服・外用との位置関係
では、これを選べばいいのか。整理します。
| 推奨度 | 位置づけ | |
|---|---|---|
| フィナステリド内服 | A | 進行を抑える中心。医療機関の処方 |
| デュタステリド内服 | A | 同上 |
| ミノキシジル外用 | A | 発毛を促す。医療機関・薬局 |
| LED・低出力レーザー照射 | B | 上記の一段下 |
| 自毛植毛術 | B | 同じB評価 |
推奨度Aの治療を置き換えるものではありません。 ガイドラインもそういう位置づけはしていません。
現実的な考え方は、まず推奨度Aの治療を医師の管理下で始め、6か月の効果判定を経る——そのうえで、選択肢として検討する対象になります。副作用が比較的軽微とされる点は、内服の副作用が気になる人にとって考慮材料になりえます(ただし置き換えの可否は医師の判断です)。
薬の位置づけはAGA治療薬の種類、効果判定はAGAの初期脱毛へ。
注意しておきたいこと
① 家庭用機器と同じとは限らない。 ガイドラインの根拠は、特定の波長・照射回数・期間の試験です。「LED」「低出力レーザー」を名乗る市販機器がすべて同じ条件を満たすわけではありません。ガイドラインが「適切な機材を使用して」と条件を付けているのはこのためだと読めます
② 週3回・26週という条件。 根拠となった試験は週3回の照射を26週間続けたものです。継続が前提の治療だと考えてください
③ 保険は適用されない。 AGA治療は自由診療です
④ 効果を保証する表現は禁止。 医療広告等ガイドラインは、効果や安全性を保証する表現を虚偽広告として禁じています。発毛を言い切る説明があれば、そこは問題です → 医療広告の読み方
高額プランとの違いに注意
同じ「機器を使う治療」でも、注入治療(成長因子導入・細胞移植療法)は推奨度C2(行わないほうがよい)で、評価が正反対です。
高額プランに組み込まれやすいのは後者のほうなので、名前ではなく推奨度で見分けてください → AGAの注入治療
カウンセリングでは、何を使うのかを一般名で確認するのが基本です。商品名やプラン名では、どこに位置する治療なのか判断できません。
治療のリスクと副作用
AGA治療は自由診療で、公的医療保険は適用されず全額自己負担です。
主なリスク
- 推奨度Aの治療(ミノキシジルの外用薬、フィナステリドとデュタステリドの内服薬)を置き換えるものとしては位置づけられていません
- ガイドラインの根拠となった試験は週3回・26週間の照射によるもので、継続が前提です
- 治療は進行を抑えることが目的で、中止すると効果は消失します
- 効果の判定には6か月程度の継続が必要とされています
- 国内未承認の医薬品を併用する場合、医薬品副作用被害救済制度の対象外となります
主な副作用
- 照射部の軽度の異常知覚、軽度の蕁麻疹(男性を対象とした試験で報告)
- 照射部皮膚の乾燥・瘙痒・圧痛・ひりつき・温熱感(女性を対象とした試験で報告)
- 併用する薬がある場合、その薬の副作用(性機能に関するもの、肝機能値の異常など)
症状の程度や頻度には個人差があります。治療の可否は必ず医師の診察を受けたうえで判断してください。
まとめ
- 診療ガイドラインはLED・低出力レーザー照射を推奨度B(行うよう勧める)としている
- 自毛植毛術やアデノシン外用と同じ評価で、推奨度Aの一段下
- 655nm・週3回・26週の試験で、照射群は毛髪数19.8本/cm²増加、対照群は7.6本/cm²減少
- 副作用は比較的軽微とされ、軽度の異常知覚や蕁麻疹などが報告されている
- ガイドラインは「適切な機材を使用して」と条件を付けている
- 注入治療(推奨度C2)とは評価が正反対。名前ではなく推奨度で見分ける
出典
- 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」(2026-09-05確認)
- 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」令和8年3月30日最終改正(2026-09-05確認)
この記事の作られ方
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