医薬品副作用被害救済制度|「対象外」が何を意味するか
当サイトのAGA関連の記事には、必ずこの一文が入っています。
国内未承認薬を使用した場合、医薬品副作用被害救済制度の対象外となります
繰り返し書いているのに、そもそもその制度が何なのかを説明していませんでした。「対象外」がどれくらい重い話なのかは、制度の中身を知らないと測れません。この記事で埋めます。
どういう制度か
医薬品医療機器総合機構(PMDA)が運営する公的な制度です。PMDAの説明はこうです。
医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による健康被害を受けた方に対して、医療費等の給付を行う公的制度です
1980年に創設され、医薬品医療機器総合機構法に基づいています。
ポイントは「適正に使用したにもかかわらず」という部分です。誰かが失敗したから救済されるのではなく、正しく使っても起こりうる副作用に対する仕組みだということです。
誰がお金を出しているか
見落とされがちですが、財源が制度の性格を表しています。
医療費等の給付に必要な費用は、医薬品等の製造販売業者等からの拠出金で賄われています
事務費の2分の1は国からの補助金です。つまり医薬品を製造販売している企業が共同で拠出金を出し合い、副作用の被害に備えているという構造になっています。
ここから、「対象外」の意味が見えてきます。その拠出の仕組みに乗っていない薬は、給付の原資がありません。
請求のしかた
健康被害を受けた本人(または遺族)等が、請求書とその他必要な書類をPMDAに送付する形です。医療機関を通すのではなく、本人からPMDAへ直接請求する制度です。
給付の種類や支給の要件、対象とならない詳細な条件は制度上いくつも定められています。実際に請求を考える段階になったら、PMDAの案内で確認するか、直接問い合わせてください。
AGAで「対象外」になるのはどこか
当サイトが確認した範囲で、対象外がはっきりしているのは次の2つです。
① 個人輸入した医薬品
厚生労働省は明確に書いています。
個人輸入された医薬品による健康被害については救済対象となりません
自分で輸入代行サイトから買った場合が典型ですが、クリニックが医師の判断で個人輸入したものを処方する場合も、入手経路としては個人輸入です。詳しくは個人輸入のリスクへ。
② 国内未承認の医薬品
そもそも国内で承認されていない医薬品は、拠出の仕組みの外にあります。AGAでいえばミノキシジルの内服薬がこれにあたります。診療ガイドラインの推奨度はD(行うべきではない)で、内服の有用性に関する臨床試験は実施されていません。
逆に言えば、承認薬は制度の中にいる
ここが実務上いちばん大事な点です。国内承認薬を医師の処方で適正に使っていれば、この制度の枠組みの中にいます。
AGAで国内承認されているのは、フィナステリド内服・デュタステリド内服・ミノキシジル外用です。診療ガイドラインの推奨度でいうと、いずれもA(行うよう強く勧める)にあたります。
つまり推奨度が高い治療と、救済制度の中にいる治療は、ほぼ重なっています。これは偶然ではありません。臨床試験を経て承認された薬が推奨度Aになり、承認されているから拠出の仕組みにも乗っている、という同じ流れの結果です。
薬の位置づけはAGA治療薬の種類、市販品との関係は育毛剤と治療薬の違いにまとめました。
「対象外」を、どう判断材料にするか
未承認薬を使うこと自体が禁じられているわけではありません。医師の判断と患者の同意があれば行われます。判断するのは本人です。
そのうえで、天秤の片側にこれを置いてください。
| 国内承認薬 | 国内未承認薬 | |
|---|---|---|
| 品質・有効性・安全性の確認 | 承認審査を経ている | 個人輸入品には保証がない(厚労省) |
| 診療ガイドラインの推奨度 | A(フィナステリド内服等) | D(ミノキシジル内服) |
| 副作用被害の救済制度 | 適正使用なら対象 | 対象外 |
未承認薬を選ぶなら、この3行を理解したうえで選ぶ。それが「同意」の中身だと考えています。
クリニックの説明を確認する
医療広告等ガイドラインは、国内未承認の医薬品を自由診療で用いる場合に、未承認である旨・入手経路・国内承認医薬品等の有無・諸外国における安全性等の4点を明示することを求めています。
救済制度の対象外であることは、この4点そのものではありませんが、未承認である旨から必然的に導かれる帰結です。カウンセリングで説明されなければ、こちらから聞いてよい項目です。
当サイトのクリニックページでは、未承認医薬品を扱う院についてこの4点を分けて記載しています → クリニック一覧
治療のリスクと副作用
AGA治療は自由診療で、公的医療保険は適用されず全額自己負担です。
主なリスク
- 国内未承認薬・個人輸入した医薬品による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象外です
- 治療は進行を抑えることが目的で、中止すると効果は消失します
- 効果の判定には6か月程度の継続が必要とされています
- フィナステリドの服用によりPSA値が低下し、検査結果の解釈に影響します
- フィナステリドは20歳未満に対する国内での安全性が確立していません。女性・小児には推奨されません
主な副作用
- 性機能に関するもの(性欲減退、勃起機能の低下、射精障害)
- 肝機能値の異常
- ミノキシジル外用による瘙痒・紅斑・落屑・毛包炎・接触皮膚炎・顔面の多毛
- 外用の初期にみられる休止期脱毛(初期脱毛)
症状の程度や頻度には個人差があります。服用の可否は必ず医師の診察を受けたうえで判断してください。
まとめ
- 医薬品副作用被害救済制度は、適正に使用しても起きた副作用の健康被害に医療費等を給付する公的制度
- 財源は医薬品の製造販売業者等の拠出金。その仕組みに乗っていない薬は給付の原資がない
- 個人輸入された医薬品による健康被害は救済対象にならないと厚生労働省が明記している
- 国内未承認のミノキシジル内服も対象外。診療ガイドラインの推奨度はD
- 承認薬を医師の処方で適正に使っていれば制度の中にいる。推奨度Aの治療とほぼ重なる
- 未承認薬を選ぶなら、品質の保証・推奨度・救済制度の3点を理解したうえで選ぶ
出典
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「医薬品副作用被害救済制度に関する業務」(2026-08-26確認)
- 厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」(2026-08-26確認)
- 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」(2026-08-26確認)
この記事の作られ方
この記事は医師の監修を受けていません。医療行為の推奨ではなく、厚生労働省・消費者庁・国民生活センター・学会の診療ガイドライン、 および各クリニックが公表している情報を整理したものです。
記載の根拠は記事末の出典に、確認日とあわせて示しています。 効果・副作用・適応の判断は個人差が大きく、記事の情報で代替できるものではありません。 治療の可否は必ず医師の診察を受けたうえで判断してください。
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