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AGA治療

AGAの診断はどう行われるか|問診と視診、そして除外すべきもの

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「AGAかどうか」を判定するチェックリストは世の中に溢れていますが、診療ガイドラインが何を書いているかを見た人は少ないはずです。

結論から言うと、診断は特別な検査に頼るものではありません。問診と視診です。ただし、そこには除外すべきものという重要な条件が付きます。

どうやって診断するか

日本皮膚科学会の診療ガイドラインは、男性型脱毛症の診断について、問診により家族歴・脱毛の経過などを聴き、視診により額の生え際や頭頂部の状態を診るという枠組みを示しています。

血液検査や遺伝子検査が必須という書き方はされていません。ガイドラインは「男性型脱毛症の診断は比較的容易である」としています。

つまり、診断そのものは高額な検査を必要としません。「特別な検査が必要」と言われたら、その必要性を聞いてよいということです。

そもそもAGAとは何か

ガイドラインの定義を引きます。

毛周期を繰り返す過程で成長期が短くなり,休止期にとどまる毛包が多くなることを病態の基盤とし,臨床的には前頭部や頭頂部の頭髪が,軟毛化して細く短くなり,最終的には頭髪が皮表に現れなくなる現象

ポイントは2つです。

① 「抜ける」より先に「細く短くなる」。 軟毛化が本体です。抜け毛の本数を数えるより、毛の太さの変化のほうが特徴を捉えています

② パターン化した脱毛が特徴。 ガイドラインは、休止期脱毛と異なりパターン化した脱毛であることを挙げています。前頭部や頭頂部という決まった場所から進みます

なぜその場所なのかも書かれています。男性ホルモンは髭や胸毛を濃くする方向に働きますが、前頭部や頭頂部の男性ホルモン感受性毛包では逆に軟毛化を引き起こすとされています。テストステロンがII型5α還元酵素の働きでジヒドロテストステロン(DHT)に変換され、受容体に結合する——この経路が、AGA治療薬でフィナステリドやデュタステリドが使われる理由です。

何歳でどれくらいか

ガイドラインは日本人男性の発症頻度を示しています。

年代 発症頻度
20代 約10%
30代 20%
40代 30%
50代以降 40数%

全年齢平均で約30%。25年前の統計から報告された数字で、現在もほぼ同程度とされています。

進行の時期についても記述があります。日本人男性の場合、20歳代後半から30歳代にかけて著明となり、徐々に進行して40歳代以後に完成されるとされています。

3人に1人という数字をどう受け取るかは人それぞれですが、少なくとも「珍しいこと」ではありません。

診断で本当に大事なのは「除外」

ガイドラインが力を入れているのは、診断そのものより鑑別です。次を除外することが大切だとしています。

  • ゆっくりと頭髪が抜け、頭部全体が疎になる円形脱毛症の亜型
  • 慢性休止期脱毛
  • 膠原病や慢性甲状腺炎などの全身性疾患に伴う脱毛
  • 貧血
  • 急激なダイエット
  • その他の消耗性疾患に伴う脱毛
  • ホルモン補充療法や薬剤による脱毛

読んでわかるとおり、AGA以外の原因は複数あります。しかも貧血や甲状腺の病気は、放置してよいものではありません。

「AGAだと思って自己判断で薬を買う」ことの本当のリスクは、ここにあります。 効かないことより、別の病気を見逃すことのほうが重い。個人輸入のリスクは個人輸入のリスクに、円形脱毛症との違いはAGAと円形脱毛症は別の病気にまとめました。

セルフチェックの限界

以上から、セルフチェックでできること・できないことがはっきりします。

できること

  • 生え際や頭頂部というパターンに当てはまるかを見る
  • 毛が細く短くなっていないかを見る
  • 家族歴を思い出す
  • 経過(いつから、どのくらいのスピードで)を整理する

できないこと

  • 他の疾患の除外(これが診断の核心)
  • 円形脱毛症の亜型との切り分け
  • 貧血や甲状腺疾患の可能性の評価

つまりセルフチェックは、受診するかどうかを決める材料にはなりますが、診断の代わりにはなりません。進行の見方はAGAの診断と進行にも整理しています。

受診時に伝えると診断が早くなること

問診が診断の柱である以上、こちらが持っていく情報の質が結果を左右します

  1. いつから、どこが、どう変わったか(生え際か頭頂部か、全体か)
  2. 進み方(じわじわか、急にか)
  3. 毛の太さの変化があるか
  4. 家族歴(父方・母方とも)
  5. 服用中の薬・サプリメント(すべて)
  6. 最近のダイエットや体重変化
  7. 健康診断で指摘されたこと(貧血・甲状腺など)

5〜7は、上の「除外すべきもの」に直結します。言わないと除外できません。

写真を残しておくと経過の説明が正確になります。同じ角度・同じ明るさで撮っておいてください。

どこにかかるか

AGAかどうか分からない段階なら、皮膚科が入口として合理的です。 除外の作業ができるためです。

AGAと診断されたあとは、成分名で処方内容を確認し、総額とリスク説明のそろった相談先を選ぶ段階になります → AGAはどこに相談するか

なお診断の枠組み(問診と視診)はどこでも同じで、AGA治療はどこでも自由診療です。

治療のリスクと副作用

AGA治療は自由診療で、公的医療保険は適用されず全額自己負担です。

主なリスク

  • 治療は進行を抑えることが目的で、中止すると効果は消失します
  • 効果の判定には6か月程度の継続が必要とされています
  • フィナステリドの服用によりPSA値が低下し、検査結果の解釈に影響します
  • フィナステリドは20歳未満に対する国内での安全性が確立していません。女性・小児には推奨されません
  • 国内未承認薬を使用した場合、医薬品副作用被害救済制度の対象外となります

主な副作用

  • 性機能に関するもの(性欲減退、勃起機能の低下、射精障害)
  • 肝機能値の異常
  • ミノキシジルの外用薬による瘙痒・紅斑・落屑・毛包炎・接触皮膚炎・顔面の多毛
  • 外用の初期にみられる休止期脱毛(初期脱毛)

症状の程度や頻度には個人差があります。診断と治療の可否は必ず医師の診察を受けたうえで判断してください。

まとめ

  • 診断は問診と視診で行われ、ガイドラインは「比較的容易」としている
  • AGAの本体は「抜ける」より「軟毛化して細く短くなる」こと。パターン化した脱毛が特徴
  • 日本人男性の発症頻度は20代で約10%、30代20%、40代30%、50代以降40数%
  • 診断の核心は除外。円形脱毛症の亜型・甲状腺疾患・貧血・急激なダイエット・薬剤性など
  • セルフチェックは受診を決める材料にはなるが、除外はできない
  • 服用中の薬・体重変化・健診の指摘は、言わないと除外してもらえない

出典

  1. 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」2026-09-05確認)
  2. 日本皮膚科学会「円形脱毛症診療ガイドライン2017年版」2026-09-05確認)

この記事の作られ方

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